無断撮影や肖像権

2014年をもって、長い間在籍していた事務所を卒業いたしました。
これまで、写真の仕事もしてないのに席を置かせてもらっていたのが不思議なことなので、ごく自然な流れです。


これで、より写真から遠ざかる、、、なんてことはなく、今も毎日写真を撮っています。
むしろ写真を撮らない人の方が珍しい世の中になっていますよね。みんな写真家です。


さて、せっかくなので少しお話を。
今ネットで話題になっている写真界隈の話と言えば、大橋仁さんでしょう。


簡単に言うと、撮影が禁止されている場所で嫌がる女性を撮影し、それを東京都写真美術館で展示したことが問題じゃないかと話題になっています。
詳しくはググってください。


肖像権については、写真家が頭を悩ませる問題のひとつですよね。
僕は、恩師に人物撮影ではモデルに使用許可の署名をもらえと教わりました。「写真展や写真集に使っていいですよ」というやつです。
風景の一部として映り込む場合には、問題にはならないだろうという考えが一般的でしょう。


僕が肖像権に関連してかなりインパクトを受けたのは、2002年の坂口トモユキさんの写真「MADO」です。
満員電車に乗っている乗客を、外から窓越しに撮影したものです。肖像権を無視していることは明らかでした。
だって、電車をおいかけて写真使用についてOKをもらうなんて不可能ですから。
実際、雑誌への掲載が見送られています。
その後、許可を得たのかは不明ですが、坂口さんのサイトには現在も掲載されています。


また、エリックさんの撮影スタイルもかなりインパクトがあります。

町ゆく人を撮るスナップシューターのほとんどは、肖像権の許諾を得ていないと思われます。
エリックさんのように、堂々と撮影して時には殴られる写真家もいれば、隠し撮りのようにこそこそと撮る写真家もいます。


僕が写真学校の学生だったころ、最初の課題は、「ファッショナブルな女性」でした。
この課題は、「町を歩くお洒落な女性を、正面から全身を画面いっぱいに撮る」というものです。
簡単に言えば、無断で人物を撮影する度胸を付けるための課題ですよね。十数年前はそんな感じでした。


今回、大橋仁さんが問題になっているのは、明らかに撮影禁止の場所で、そうと分かっていて撮影し、展示されることを嫌がるだろう被写体の写真を展示した(と分かった)からでしょう。
そこが、いわゆるスナップショットとの違いです。普通の道などの公共の場所とは明らかに違いますよね。
坂口さんのMADOのケースは、電車の中という若干プライベート空間っぽいところが、写真のインパクトと肖像権の問題とを強調しているのでしょう。
明らかに撮られたく無さそうだしね。


父親を何年も無断撮影した田村からは以上です。